冬の遊び旅 オホーツク



 2月16,17,18日チャーター便で手早く北海道の冬を楽しんできた。

 「通常の定期便とはちがった特別ルートでの飛行、北海道縦断+流氷観察ルートです。」
福岡空港搭乗口で機長自らの挨拶に旅への期待が高まる。

 空からの大雪山国立公園の眺め、超低空飛行で紋別流氷群上の旋回等、サービス満点の飛行と
機長アナウンスにチャーター便ならではの醍醐味を満喫した。


 女満別空港の外に出てまず目につくのは気温−12度の表示板と軒先に下がる立派なつらら。
おそるおそる一歩踏み出すと、アラ、すべらない。歩くたびキュツキュッと音がしてこれが
パウダースノーなんだと納得。

 網走の海岸沿いを走ると流氷がすぐそこまで接近しているのが見えて大感激!シャッターを押しまくり。
青空に白い雪景色が映えて美しい風景も撮りまくり。ガイドさんがすぐに飽きられますよと笑う。

 道路の脇うず高く雪が積み上げられて狭くなった道路を普通のスピードで走る車、坂道ではロードヒーティングが施されて雪が消えている。除雪車と時々すれ違う。北国の暮らしの工夫と大変さを実感する。

 網走の街を見下ろす天都山にあるオホーツク流氷館で流氷の成り立ち、ルート、性質を体験できる。
そして館前の斜面をチューブに乗って滑るスリル満点のボブスレーを楽しんだ。

 北海道立北方民族博物館ではエスキモー、ラップ、北方諸民族の文化を紹介している。
北方地域の文化や社会の違い、共通性を具体的な資料を通して知ることができて興味深い。


  雪原の夕日を眺めながら次第に山に入っていく。車の通行量が少なくなり、やがて突然阿寒湖に出た。
夕方5時には真っ暗になり日没時間が九州より1時間以上早い。 

 早めに夕食を済ませてホテルの裏口から外に出るとすぐ凍てついた阿寒湖の氷上に出る。
アルコールで火照った顔に粉雪まじりの横風が吹き付けて心地よさを通り越して途端に凍りつく。
「さむ!」
思わず口にすると、連れ合いがすかさず
「飲んで家に帰るときのほうがもっと寒い。」

 阿寒湖氷上フェスティバルは19時30分のセレモニーに始まる。−15℃とはいえ湖上を吹きわたる強風に体感温度はもっと下がる。甘酒がこんなに美味しく有難い飲み物だとは知らなかった。

氷上バナナボート、カーリングなどを体験してそのあと冬花火を見物する。短時間のフェスティバルの理由がわかる。もう寒さ我慢の限界なのだ。


2日目

 朝食前、気合を入れてホテル屋上の露天風呂に入る。寒風吹きすさぶ中に裸で出て湯に浸かると肩から上は寒くても、もう大丈夫。しばらくするとなんと髪が凍って、風呂の横においていたタオルがカチカチになっていた。


霧の摩周湖とはよく言ったもので全然視界がきかず、湖上から吹き上げるキラキラした氷の粒混じりの風に閉口して早々に退散する。
硫黄山でも強風にあおられて顔が痛くなりさっさとバスに戻る。


 網走港から観光砕氷船おーろら号に乗船、1時間のクルージングに出航。北緯44度のオホーツク海沿岸は海が凍る南限で極寒北部で誕生した氷塊は南下するにつれ大きく成長し知床半島にぶつかる。

船首から氷に乗りかかって砕く進み方は迫力満点、展望デッキからはダイナミックな航行の様子が満喫できる。
青空と流氷の白だけの清潔な色彩に心の中まで洗われるようだった。。


 知床半島のウトロ側を1時間走りウトロ温泉に着く。途中広々とした雪原の向こうに斜里岳、知床連山が連なり左手に流氷、右手の山急斜面にエゾシカが現れる。オジロ鷲も見え世界自然遺産知床のロマン溢れる風景に感激。
オシンコシンの滝から見る夕日に染まった流氷の海は幻想的。


 ウトロ温泉の冬の最大イベント「オーロラファンタジー」が20:00からオロンコ岩特設会場であり、
もう俺は行かない。寝とく。”
とか言う連れ合いを励まして連れ出す。屋外で立ったまま見る20分の屋外ショーと降るような星空に
しばし寒さを忘れる。帰る途中、甘酒が有難い。
ホテルではオニオンスープをふるまってくれた。


3日目

6時から早朝流氷ウォークに参加する。想像以上の体験だった。
見渡す限りの流氷原を防水性と浮力に優れたドライスーツを着てはるか沖まで歩くのだが、
一見平面に見える流氷は実際歩くと重なり合って盛り上がったりしていて滑ったり割れ目に足を突っ込んだりしてすごく
ハード。月面歩行の様で神秘的だった。歩行に慣れた頃思いきって突っ込んだ左足がズボリとはまって右の尻をとがった流氷の角で打ってしまった。その痛かったこと!
 

 北浜駅から流氷ノロッコ号に乗る。時速30キロで海沿いを流氷を眺めながら走るのだが、もういい加減見飽きてもっぱらストーブであぶるスルメと燗酒に興味が移る。

 博物館網走監獄は健さんの番外地シリーズのイメージとは違う北海道開拓の先兵として送り込まれた政治犯の悲しい歴史を知らしめる行刑資料館。暗い監獄の外に出ると明るい青空と雪景色が目にしみた。


網走湖の氷上でワカサギ釣りにチャレンジする。大きなドリルで氷に穴をあけてもらい、小さなエビをつけた糸を垂らしてあたりが来るのを待つ。
若いスタッフはなんと半そで!
氷の下をワカサギが回遊していて釣れ出すと面白いほど釣れるらしいが、時間が無いので一匹ずつ釣れた時点で終了して天ぷらにして食べた。釣れたて、揚げたてに塩をかけて
「うまい!」
氷上シャトルに乗ったり氷滑り台に喚声をあげたり、湖上の遊びは楽しかった。



 女満別空港から予定より15分ほど早く飛び立つ。暗くならない内に流氷の景色を見せようという機長の粋な計らいなのだ。
 「1200mの低空飛行など初めての経験でドキドキしています。」
スチュワーデスさんの言葉。
でも客たちは流氷慣れしてしまってたいして感激することはない。

 機中、早朝の流氷ウォークで疲れがどっと出てぐっすり眠ってしまった。
そして3日後、下半身の筋肉痛に襲われた。
 九州では決してできない雪遊びや氷遊びで童心に帰った3日間だった

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