佐田〜足摺の岬めぐり
 


佐多〜足摺,岬めぐり旅



2013年8月14、15日フェリーを使って足摺宇和海国立公園を夫婦でドライブ旅行した。

 14日午前7時出発。佐賀関に10時着。盆の混雑のためフェリーは満杯で、1週間前にやっと11時の予約をとっていた。

わずか70分の船旅だが、日本一長い佐田岬半島にそびえる白亜の佐田岬灯台が見えてくると豊予海峡を越えて四国

に上陸する興奮が湧いてくる。

 三崎は小さな港で、ちょうどお昼だったので食堂で刺身定食を食べた。切り身のように大きな刺身にたじろぐ。漁師の

料理の感覚なのだろうか、魚好きの私も少々引いてしまうほど。

 長い岬の背骨の部分にズラリと風力発電の風車が立ち並んでいて,青い空と海に映えてとても美しい。この美しい風景

を支えている産業は一体どんなものだろうと疑問が湧いてきた。

途中の道の駅“きらら館”にはこれといった産物はなくて、じゃこ天ののぼりしか目立たない。表に出て“プルサーマル絶

対反対”の小さな横断幕を見た時、

「ああそうだ。伊方原発があった!」

と納得した。この美しい景色は原子力発電所の代償だったのだと思うと明るい風景が心なしか悲しく見えてきた。原発反

対!と大きく叫べない土地の人たちの事情が異常に静かな海に溶け込んでいる。



 宇和島市に入ると天守閣が見えてきた。暑い3時に天守閣まで登ることにして運動靴に履き替えた。

意外にハードな登りの天守までの道すがら、汗が滝のように流れる。籐堂高虎が創建して、その後伊達家が入部し、往

時の姿を今も伝えている。現存する天守としては貴重で国重要文化財に指定されている。

コンクリートで塗り固められた復元のお城には無い品の良さが随所に感じられる。歴史の重みが幽玄の世界へ誘う。

吹きわたる風に汗が引いていく。

 郷土館の入り口に闘牛のポスターが貼ってある。

「そうそう、宇和島って闘牛で有名なんだよね。」

見てみると、なんと年5回定期開催されるのが今日8月14日とある。12時からで、もう16時。

「あ〜あ、見逃してしまった。惜しいことをした。」

残念がっていると館員さんが

「今年は暑過ぎて牛の闘争心が減退して面白くないそうですよ。」

と慰めてくれた。

ホテルにチェックイン後、町を散策する。やはりいずこも同じ中心部は活気が無い。そこかしこに歴史の香りはするもの

の、町全体が沈んでいる。

 夜はホテルのすぐそばの居酒屋で楽しい時を過ごした。


 早朝散歩で辰野川界隈を探訪した。お寺とそれに付随する墓の多さに驚いてしまう。朝から墓参の人達が目立つので

、ご先祖様を大切にする土地柄なのだと感心したが、それもそのはずで、8月15日なのだ。

 8時30分に足摺岬めざして出発。宇和海の美しい海岸線沿いに走る。コンビニ、ガソリンスタンドがほとんど無い。愛南

町の道の駅に立ち寄る。道すがらグレープフルーツの様な大ぶりのミカンを大量に売っているのが気になったので、袋

詰めの愛南ゴールドを沢山レジに置いた。売り台に試食を置いてあり食べてみると甘くも酸っぱくもない。これはダメだと

一袋だけ買った。ところが帰ってそれを食べてみると適度の甘さとみずみずしさがとても美味しい。沢山買ってくれば良

かった、惜しいことをしたと商売気の無い道の駅を恨めしく思った。試食用にはケチらずにちゃんとしたものを置いておく

べきです。ホント。

 土佐清水市のジョン万次郎資料館に着いたのがちょうどお昼。万次郎の数奇な運命、強運、しなやかで賢い生き方に

感銘した。長い鎖国時代、万次郎のように漂流して外国で暮らした船乗りや漁師たちが多分他にもいたに違いない。

外に出て南国の強い日差しにめまいを覚えたが、彼の生き方に勇気をもらったのだろう、暑さがあまり気にならなかった。

 12時過ぎ足摺岬に到着。手前の駐車場に車を停めてシャトルバスに乗る。岬の突端までは亜熱帯の木々のトンネル

を歩かなければならない。木陰とはいえ汗が噴き出す。

紺碧の海が広がる太平洋に突き出た岬の先端に白い灯台が建っている。展望台からは270度の視界が広がり、台風の

時テレビに映される海とは別物の様な穏やかでダイナミックな太平洋の表情がまばゆい。

 昼食は店のおススメのかつお丼を食べる。運ばれてきたものはご飯の上に鰹節の粗削りを乗っけて甘いしょう油ダレ

をかけただけのもの。ネコではあるまいしとがっかりしたが食べてみると美味しい。これは簡単で我が家のレシピにしよう

と思った。せめて温泉卵と青紫蘇ぐらいはトッピングして。

 連日、日本一暑いと騒がれている四万十市経由で帰ることにした。結局フェリーの時間が気になるので四万十川を少

しさかのぼっただけで、市街地に入らなかった。川沿いに四万十川で獲れたうなぎやアユを食べさせる店があるが、この

暑さで漁獲が無いので四万十の魚ではありませんと貼り紙がしてあった。ちょうどひと雨通り過ぎたので温度が下がっ

らしく、日本一の暑さは体感出来なかった。

 西予市でうどんを食べた。コシの強い四国のうどんはやわらかな筑後うどんに慣れている私達にはなじまない。ダシも

甘みが足りない。

 三崎に20時に到着。港の広場では盆踊りがあっていて大勢の人が明かりに照らされ輪になって踊っていた。

フェリーを待つ間、聞こえてくる太鼓の音が盆の終わりを告げるようで物悲しく聞こえてくる。

21時40分、佐賀関に接岸。23時34分、我が家へ到着。凄いスピードで走ったことになる。2日間の走行距離が772km、超

暑くて海の景色を満喫した岬めぐりの旅だった。


四国の最西端佐田岬灯台

半島の真ん中を無数の風車が並んで立っている。

道の駅きらら館

小さな横断幕「プルサーマル絶対反対」

宇和島城天守閣

天守閣への長い道のり

天下を取った気分

闘牛のポスター

天守閣から東の方角を見る

西方、宇和海を見る
歴史ある木屋旅館 美味しくて楽しい居酒屋
ジョン万次郎資料館の前で

万次郎の銅像

亜熱帯のなかをひたすら歩く

突然視界が開けて太平洋
足摺岬灯台
迫力満点の断崖


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